兄との遺品整理二日目。

アルツハイマーの親父がたまに自部屋の周りを徘徊していたらしく、その度に足の悪い母親がヨタヨタあとを追いかけて家に連れ帰っていたらしい。

 

隣人のおばあさんもそれを何度か目撃していたほどに恒例だったらしい。

 

「最近追いかけてこないからどうしたのかな?と思っていたのよ」

 

お願いだから隣組の長とかにそう言うの連絡してください。

 

それ以前に兄が引越しの際に近所に挨拶回りをすべきだったんだけどな。

 

いつ死んでもおかしくない老夫婦を遠隔地に住まわせて、かつ2、3週間に一度しか

様子を見に行かないんだから。

 

パチスロやマラソンの中毒症状が起きたら、それすら怪しいもんだったんだから。

 

ま確かに生前の父母の追いかけっこは微笑ましいけどもさ。

 

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今日は昨日の残務整理。

 

母親を殺した兄と作業をする違和感たるや相当なもんだけど、

そこにこだわってるとこの鬱状態からいつまでも脱出できないので

核心に迫る話は面と向かってはできない。

意味不明の言い訳が始まるのを知ってるし、罪の意識が皆無な兄の態度を見てると余計気が滅入る。

 

よってなるべくフレンドリーたらんとする努力さえしている。

 

でも車での帰途、その意図がようわからんマラソン用シューズのコレクションの件で

 

「そんなに何足も買う意味がようわからん」

 

的なことを俺が言ったのが癪に触ったらしく、その後我がアパートに到着するまで

ずっと興奮冷めやらぬ調子で自身の浪費癖を正当化してきた。

 

「いやまぁ、こっちはただ会話の流れとしてそれ聞いたら誰でも十中八九俺と同じ反応をするはずなので別にあなたを挑発したつもりではなかったのだよ。」

 

と言う旨を伝えたところで自宅に到着する頃には兄も納得した様子でそこで別れたのだけれど、なんと30分後に電話が来てそこからまた十数分口論が続いた。

 

結局は俺の言い分を納得して折れたみたいだったけど、

ほんと、めんどくさいし気持ち悪すぎるよあの性格は。

 

たかがジョギングシューズ買いすぎを軽く突っ込んだごときで。

 

なんらかの精神疾患があるのは確実なんだけど、そこを指摘したらまた興奮して

結局埒はあかないと思うので、おそらく今後も言わないと思う。

 

兄自身にとっても「そここそ」が一番大事なのは死ぬほどわかってるんだけど。